木工塗装の
可能性を
追い求める
1つとして同じ表情がない木材と向き合い、美を追求し、お客様のご要望に、建築の未来に、私たちだからできる答えを出す。
それがニシザキ工芸塗装部のものづくり。
機械に委ねない熟練した技術と、職人それぞれの感性が響き合い、家具は新たな物語を紡ぎ始める。
この先も、私たちは木工塗装の可能性を追求し続けていきます。
ニシザキ工芸は、1923年に創業者が江戸指物師として独立し、木工家具製造を軸にしながらも時代に合わせて事業を進化させてきました。1世紀を超える歩みの中で、当社が独自に築き上げてきた強みの1つが木工塗装技術であり、1990年に専門スタジオを開設するに至った理由でもあります。
どれだけテクノロジーが進化しても、人の感性と手作業から生まれる塗装の質感は唯一であり、数値化や均一化はできません。なぜなら、私たちが向き合う木材は、人と同じように「個性」があるからです。それらを塗装の現場で職人が手を使って考え感じ、仲間と新たな価値を創造していく。それが、私たちの目指す姿です。
美しい塗装をつくるのは、ニシザキ工芸という会社ではなく、そこで働く職人たちの情熱。持てる技術を注ぎ、挑戦を止めないその情熱が重なり合うことで、お客様の理想を形にしています。
特注家具の塗装は、樹種や生育環境による個体差を持った天然木を扱うがゆえ、経験を通じてのみ培われる熟練した職人の技術と感性が欠かせません。標準化や数値化が難しいその部分こそが私たちの核となっています。
どうすれば、目標の色や質感を実現できるか。チームワークで知恵を出し、アイデアをどんどん実践していく。そんなニシザキ工芸らしいものづくりを次世代に継承することも重要だと考えています。
木工塗装の可能性を追求する道に終わりはありません。個人の成長、働きがい、生きがいといった心の豊かさも大切にし、現状に満足しない職人集団であること。それがニシザキ工芸 塗装部です。

目黒 大祐(塗装部部長/
塗装スタジオ工場長)
塗装職人になって、30年ほどが経ちました。私が入社した当時というのはちょうど、ニシザキ工芸の存在が特注家具の世界で認知を広げた頃。職人の世代交代が進んだ時期でもあったので、経験の有無や知識量の多少にかかわらず、無我夢中というか、とにかく前に進むしかなかった。だから、いろいろな仕事にまじめに取り組んできた自負はあります。この通りにやればいい、という教科書など存在しない中で、たとえ正解がわからなくても、木材に向き合って考え、手を動かし続けていく。その作業をあきらめずに繰り返しやってきたから「いま」があるとも思っています。
振り返ると、朝起きて会社に向かう足取りが重く感じるほど大変なこともありましたが、試行錯誤しながら、お客様の求める塗装のカラーや質感を再現してきたすべての経験が自分の糧になっています。結局、この仕事が好きなんでしょうね。縁の下の力持ちとしてお客様の役に立てることが、私にとって昔も今も変わらない原動力。手仕事から生まれる豊かさのようなものの重要性はむしろ、この先に増していくと信じて、それをずっと探求していきたいと思います。

石澤 友美
家具塗装という仕事は、一見するとシンプルな作業なのですが、塗料の選定や木材との組み合わせ、加工方法によって、仕上がりは驚くほどバリエーション豊かです。そして、完成までに多くの工程があり、全てを学んだ上で、一つひとつの作業にあたっていかなければなりません。それが職人仕事と呼ばれるゆえんでしょう。私にとってはおもしろさが詰まった世界で、塗装の基礎をただひたすら身に付けた時期、感覚を掴み、技術の引き出しを増やした時期、仕事の中にぬくもりや自分の感性と言えるようなものを加えられるようになった時期…どの時期も一生懸命走ることが楽しくて、気がついたら20年以上も続けてきました。
いま合理的な世の中になって、たとえば吹き付け塗装は機械の方が人間よりもずっと早くこなすけれど、それだけでは特注家具のものづくりは最高のところへ行けないと思っています。木材それぞれの性質を見極めて目標の美しさを具現化し、さらに、よく触れるところは塗膜をわずかに厚くするなど、「使う」という機能も大事にする。それができるのはやはり、手仕事だからこそです。
最近は若手の活躍がめざましく、意欲的に新たな挑戦を始める頼もしい姿をよく見るようになりました。次世代を育てるという役割を果たしつつ、彼らから刺激をもらって、私ももっともっと技を磨いていきたい。それが今後の目標です。

小池 忠由
実家は、神奈川県で外壁や屋根などの塗装工事業を営んでいました。仕事と生活が地続きの環境でしたから、高校卒業後、自然な流れで家業へ。でも、3年ほど経った時、違う世界を見てみたくなったんです。それが家具塗装の世界に入ったきっかけ。親方だった父に思いを打ち明け、職業能力開発短期大学校で産業デザインについて学んだ後、ニシザキ工芸に入社しました。
以来、30年近くずっと、塗装美の探求を続けてきたのですが、実は途中で一度退社していて、さまざまな塗装会社の仕事を経験した後、再び縁あってニシザキ工芸で働いています。いわゆる「出戻り」ですね。外に出てみて気づいたのは、ニシザキ工芸がいかに特別な仕事をしているか、そしていかに職人のレベルが高いかということ。毎日、新しい本を開くようなワクワク感、学びがあって、自分の技術や内面を仲間と一緒に磨き続けていける。家具塗装職人にとって、これほど恵まれた環境はおそらく、日本中のどこを探してもないでしょう。
今にして思えば、若い頃はがんばらなければ、認められなければと必死でした。「何者かになりたい」という我の欲求が強かったのかもしれません。でも、年齢を重ねて、その気持ちは「誰かの役に立ちたい」という自然体の境地に変化しました。数値化・言語化が難しい技術的な知見を次世代に伝えたり、会社が主催する家具塗装セミナーの講師や業界団体の役職を担ったりと、モチベーションの源泉が自分の内側から周囲、社会へと広がっていることを感じます。
世の中の変化に柔軟に対応しながらも、職人の手仕事による丁寧なものづくりは変わらずに続けていきたい。それが一番の願い。微力ながら、私にできることを見つけ、楽しみながら取り組んでいきたいと思います。

坪井 真莉子
前職は、食品包装容器メーカーのプロダクトデザイナー。形状設計から試作、量産対応まで幅広い業務に携わりましたが、その経験が図らずも、自分の適性や本当にやりたいことに気づくきっかけとなりました。「もっと手を動かして、ものづくりがしたい」。そんな私の希望を叶えられそうだと感じたのがニシザキ工芸の塗装職人です。現場見学をさせてもらった時、職人として働く自分の姿をイメージしたら、その思いは確信に変わりました。
私が思う家具塗装の仕事のおもしろさは、日々の経験が積み重なって、確かな糧になっていくところ。木は樹種や育った環境によって、それぞれが個性を持っています。だから、手や目の感覚がとても大切で、その木がどういう塗料に適しているか、どういう色が出るか、どういう質感に仕上がるかは、実際に木を観察し、触ってみなければわかりません。これが本当に難しくて奥の深い世界なんですね。終わりのない答え合わせというか。ただ、はじめの頃はどの作業をするにも、一から十まで先輩職人に指導を仰いでいたのが、年月の経過とともにふと、それまで体験したことのない感覚が出てくるんです。研磨する時の力の入れ方、スプレーガンを持つ角度…いろいろありますが、少し前までできなかったことができるようになる。そういう、繰り返し作業する中で掴める発見や達成感がやりがいにつながっています。
入社10年目の今は、後輩たちの育成も役割の1つになりました。自分が辿ってきた道を思い起こしながら、壁を一つひとつ乗り越えるサポートができたらと思っています。その取り組みによって、ニシザキ工芸の家具塗装技術の継承に貢献していけるよう、がんばっていきたいです。

吉良 栄香
私は、自分で決めた目標に向かってまっすぐに突き進むタイプ。中学時代は吹奏楽部の活動に熱中し、高校・大学では美術の勉強と制作に打ち込みました。いつも「もっとうまくなりたい」という思いが原動力になっていた気がします。そんな私にとって、美しい色や質感を塗装で表現するこの仕事は天職だったのかもしれません。
入社以来、目指していた塗装技能士(木工塗装)1級に昨年、合格しました。努力が実ったのだとうれしかったのですが、今度は何を目指したらいいのかわからなくなってしまって…。心にぽっかり穴が空いたような状態が続いていた時期に、西崎社長から施工現場の補修をやってみないかと声をかけていただいたんです。新しいことを始めたら、なにか発見があるかもしれないと思って、挑戦を決めました。
施工現場の補修は、家具の取付け時に生じたキズや打痕を直して元通りの状態にする仕事です。限られたスペース、道具で作業を進めなければならない難しさはあるのですが、だからこそ工夫する楽しさや、自分なりの最適解を見つける達成感を味わうことができます。今まで知らなかった世界の扉を開けたら、また元来の「もっとうまくなりたい」成長エネルギーがむくむくと湧き上がってきました。最近は補修専門のセミナーに参加したり、新たな道具を取り入れたりして、スキルアップに努めています。
今後の目標は、塗装職人として自分らしく生きる道を探すこと。「自分らしく生きる」というのは「自分が笑顔でいられることを自分で作っていく」ことかなと思っていて、その実現のために、1つ上の視座を身につけたいと考えています。具体的には、多様な職人を束ね、塗装の全工程を牽引できるようになること。リーダーシップや課題解決力など、学ぶべきことは尽きません。常に挑戦心を忘れず、この会社だからこそできる特別なものづくりにずっと、丁寧に向き合っていきたいです。

山﨑 隆史
祖父が自宅で木彫をしていたので、幼い頃から木材で何かを作って遊ぶのが好きでした。家具塗装の世界に入ったのは、そういう環境で育った影響が大きいかもしれません。
木に触れていること自体が楽しく、幸せなんです。だから、塗料を塗っては拭き取り、研磨する工程を何度も繰り返して、美しさの中に木材それぞれが持つ味わいを表現していくこの仕事に夢中になりました。当然のことながら、ニシザキ工芸が長い歳月をかけて積み重ねてきた技術というのは、一朝一夕には身に付きません。先輩職人に少しでも近づきたくて、作業の様子を観察したり、わからないことを聞いたり。質問をすると、先輩方はいつも、どんなに忙しくても手を止めて優しく教えてくれるので、感覚的なところも掴みやすかったですし、どれだけの熱量を持って仕事をしているかが仕上がりに表れることも学びました。
ところが…ひと通りの工程を覚えて、さあこれからだ、という時、肺気胸を患い、手術を受けました。肺気胸自体は完治したのですが、その後、今度は低血圧による体調不良に悩まされるように。低血圧には動悸、息切れ、倦怠感など、さまざまな症状があり、天気や気圧の変化にも影響を受けます。「もう、仕事を続けていくのは難しいかも」とさえ思いましたが、私の状況を知った西崎社長がきっぱり、「体調が最優先。会社としてできるだけサポートするから」と言ってくださいました。その言葉が、どれだけ私を励まし、どれだけ前向きにしてくれたことか。そして言葉通り、週の勤務日数や勤務時間を調整できる時短勤務制度が拡充され、病気療養中の私も利用させてもらえることになったのです。
入社6年目を迎えた今、心から思います。「あの時、やめなくてよかった」と。私にとって家具塗装の仕事は、生涯をかけて追い続けたいもの。仕事と体調のバランスを保ちながら、これからも木と共に生きる人生を歩んでいきたいです。

桑原 和宏
私は両親ともにグラフィックデザイナーという家庭で生まれ育ちました。「美しい色彩や形とはどういうものなのか」を、日々の何気ない会話や暮らしの中から感じる機会があり、それらが自分の美意識のもとを作った気がしています。
ニシザキ工芸の存在を知り、興味を持ったのは、プロダクトデザインについて学んでいた専門学校時代。外部講師として来校された先輩社員が、家具塗装の技術やおもしろさを教えてくださったのがきっかけです。木材と塗料と手仕事の組み合わせにより色彩を表現する家具塗装には、機械で量産する塗装とは違う一期一会の美しさや手ざわり、温かみがあって、職人たちの試行錯誤が重ねられている。その奥深さに、仕事としての魅力を感じました。また、ニシザキ工芸は塗装専門会社ではなく、特注家具製作に企画段階から施工まで一貫して携わっているので、ハイレベルなものづくりをさまざまな角度から学べると考えたことも、志望した理由の1つです。
入社後は希望通り、塗装部に配属になり、先輩職人のもとで修業をしています。修業といっても「師匠の仕事を見て覚える」などの厳しい世界ではありません。まじめで寡黙な人が多いのは事実ですが、とても温かい雰囲気で、新米の私もどんどん作業をやらせてもらえます。「失敗しても大丈夫。ちゃんとフォローするから」と。そういう環境なので、楽しく技術を習得しています。
いい意味で入社前の想像と違ったのは、特注家具製作の全工程を統括する社内プロダクトマネージャーと、仕上がりや納期、工数などについてディスカッションする機会が多いこと。その経験も私にとって大いに刺激になっていて、「いつか、プロダクトマネージャーの仕事にも挑戦してみたい」という思いを抱くようになりました。もしチャンスが巡ってきたら、私自身が今まさに体得している「どのようなステップで塗装工程が進んでいくのか」という実感や、お客様の仕上がりに対する疑問への共感を、自分の強みとして生かそうと考えています。そんな未来を思い描きながら、努力を続けていきたいと思います。

鎌田 百奈
私の実家は酒屋を営んでいて、商品と一緒に届いた段ボールが山のように積んでありました。子供の頃、それらを引っ張り出してドールハウスとか、いろいろなものを作って遊んだことを覚えています。あれこれ工夫しながら、自分のイメージを形にするのが楽しくて。思えば、今の私の原点はここにあるのかもしれません。
大学卒業後に新卒入社した会社は、建材カタログ専門の制作会社でした。興味のあったインテリア業界に何らかの形で関わりたいとの気持ちから選んだ会社でしたが、どうにもしっくりこない。「ああ、私がやりたいのは、自分の手でものを作り出す仕事なんだ」と気づいて、転職を決意。職場体験イベントへの参加を経て、ニシザキ工芸に入社しました。
ニシザキ工芸の家具塗装は、1つの製品を1人の手で仕上げるのではなく、複数の職人がチームワークで進めていくのが特徴です。修業中の職人にとっては、先輩に教わりながら少しずつステップアップできる達成感やおもしろさがありますね。手の動き、力の入れ方、たたずまい…そのすべてから学びがあり、先輩方から言葉にならないヒントを毎日たくさんいただいています。
お客様にとってベストな色、質感をいかに表現するのか。その木との駆け引きが難しいけれど魅力です。それは単に技術だけではなく、人の感覚、感性も大切なのだと、経験を重ねるほどに実感するようになりました。だから、心を豊かにするために趣味の時間を積極的に作り、暮らしも大切にしています。最近ハマっているのは、CDジャケットを水彩で模写すること。自分の目で捉えた色を、絵の具の量を調整しながら再現する…その作業が家具塗装の調色にも通じるところがあって、すごく楽しいし、勉強になるんです。私をいい方に導いてくれるのは、やっぱりこの仕事なのかもしれません。
入社3年目の今、目指しているのは塗装技能士(木工塗装)2級の合格です。そして、大きな目標としては、塗装の全工程をこなせるようになりたい。いつかその目標が叶えられるよう、日々の仕事に邁進していきたいです。
ニシザキ工芸 塗装部では、社員一人ひとりがやりがいと誇りを持って仕事に取り組み、継続的に成長・活躍できるよう、技能向上やキャリア自律を後押しする取り組みを行っています。

職場でのOJTに加え、各分野の専門家を講師としてお招きした社内研修を随時開催しています。木工塗装技術のスキルアップを図るものから、チームワークや生産性向上、DXについて学ぶものまで、内容はさまざま。研修を通し、塗装職人として、またビジネスパーソンとして求められる知識、技能、マインドなどを総合的に習得します。

建築やインテリアを学ぶ美術大学・専門学校の学生や業界のプロフェッショナルの方々に向けた出張木工塗装セミナーを、ご要請に応じて承っています。実施をご希望の方は、ニシザキ工芸のお問い合わせフォームよりご連絡ください。これからも自社の保有技術を生かした社会貢献活動を続けていきます。

業務において取得が必要な有機溶剤作業主任者資格のほか、能力開発の観点から取得を奨励する資格について、勉強のための研修参加費や受験費用の補助、資格手当支給といったサポートを行っています。塗装技能士(木工塗装・金属塗装・建築塗装)、職業訓練指導員、危険物取扱者乙種第4類などが奨励資格の一例です。

東京木工塗装技能士会が主催する技能コンクールに毎年、塗装部の有志が参加しています。2025年度の第19回大会では当社の目黒大祐の作品が第1位、山崎隆史の作品が第2位に入賞しました。コンクールへの参加は、職人の技能レベルを向上させることだけでなく、大会への準備を通じて教え・教えられる職場風土をつくることも目的としています。

建築業界では次世代の担い手育成、技術・技能の継承が課題となっています。こうした課題に対し、私たちができることとして、インターンシップや、地域の小・中学生を対象とした職場見学の受け入れを行っています。これらの活動は、社員が地域社会との接点を持ち、視野を広げる機会にもなっています。